ここ数年、DMO(稼ぐ観光)に取り組む地域が増えていますね。
組織の在り方や取り組みの内容は様々ですが、
大切なのは「目的地として選ばれる場所をつくり、観光客を受け入れる体制を整えてお金を落としていただく事。」
例えば、ハワイや京都。
「ハワイ」と聞いただけで青い海を思い浮かべたり、
「京都」と聞いただけで舞妓さんや町屋の風景を思い浮かべるのではないでしょうか?
その場所に「行きたい!」と思って頂き行先として選んで頂く。
これが「目的地になる」という事だと思います。
そして、「目的地」へ行くための交通の便が整備されていたり、泊まるホテルがあったり、体験コンテンツがあったり、美味しい食が楽しめたり、お土産が買えることで観光客は旅を楽しみ、お金を沢山落とし、地域は豊かになる。
そんな、とてもシンプルな事だと私は考えています。
そう考えた時に最近の「日本版DMO」は体験観光に偏っているようにも感じてしまこともありますが…。
私は北海道余市町にある観光施設に勤務しています。
施設内にあるギフトショップの売上・品質管理が私の主な仕事です。
余市町の観光入込客数の半数がこの観光施設に来場しています。
ここ2年間のデータを見ると下記のようになります。
2017年 余市町観光入込客数は116万人に対し施設来場者は56万人
2018年 余市町観光入込客数は108万人に対し施設来場者56万人
データを見ると、当施設はまさに「キラーコンテンツ」であり、
「稼ぐ観光」に必要なコンテンツだと考えています。
そこで、重要なのが「お土産」です。
施設に来場されたお客様にお土産を沢山購入して頂くことは「観光消費額」増加につながります。
以前、余市町では観光消費額を試算していなかった為、パブリックコメントで観光消費額調査の必要性を訴えるために提出した資料です。
2016年度の観光消費額は56億円と試算しました。
https://www.omorin.fun/entry/2018/12/31/163500
※観光消費額の計算に必要な情報を調査するために2018年にアンケートも実施しました。
昨年より、余市町でも観光消費額の調査を行って頂けることになり、
道庁のサイトにこのような資料も公開されています。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/kz/kkd/kasegu.htm
やはり、余市町の観光消費額は50億円程度だという事がわかります。
この観光消費額を増加させる事。
観光消費額の中の「地元調達率」を増加させることで地域は豊かになると私は考えました。
営業部に異動してきた当時、当施設のギフトショップには「余市町」の商品はあまり並んでおらず、余市町以外の地域で作られたお菓子や雑貨が多く並んでいる状態でした。
ギフトショップで販売する商品は社内の規定をクリアする必要があり、
地元の商品はなかなか難しいのが現状でした。
ちなみに、社内規定を簡単にクリアできる商品とは下記のようなものです。
・設備(エアーシャワー、金属探知機、X線等)が整っている製造所で衛生的に作られている。
・表示等に誤りがなく、必要書類が揃っている。
・会社の経営が安定しており、商品の販売実績がある。
・商品を安定的に供給出来る。
(生産量、ルートが整っている)
このような条件を満たした商品となると、どうしても大きな設備のある会社で作られた商品になりがちだったのです。
でも、せっかく余市町に来て頂いた観光客に買って頂くお土産が余市以外の地域で作られた商品であれば、お金が余市の外に落ちることになります。
腑に落ちない現実…。
「 ほんの少しだけでも地域にお金が落ちる仕組みを作りたい!」
そんな想いから、私は
「余市町にお金が落ちる仕組みづくり」へ向けてチャレンジを始めました。
「地域にお金が落ちる仕組みづくり」
後編へ続きます

- 作者:藻谷 浩介 / 山田 桂一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/11/16
- メディア: 新書